最新Intel® Xeon® CPUのメリット
データセンタ等で使われるラックマウントサーバには、サーバ向けのプロセッサであるIntel® Xeon®プロセッサが良く利用されています。
サーバ用のXeonプロセッサは一般的にそれほど馴染みのある製品ではなく、デスクトップ向けのIntel® Core™プロセッサとは何が違うのか、同じXeonでも種類があるがどう違うのか、どの製品が最新のものなのかなどいろいろわかりにくいことが多いと思います。
そこで今回これらの疑問に答えるために、Intel XeonとCoreシリーズプロセッサの違いや、Xeonブランド内での各プロセッサの位置づけについて簡単にまとめてみました。サーバ選びの参考にしてみてください。
XeonとCoreの違い
Intel XeonはIntel社製のサーバ向けのプロセッサのブランド名です。
デスクトップ向けのCoreシリーズのプロセッサとの違いはおおよその傾向として次のようになります。
Xeon プロセッサ- コア数が多い
- クロック数よりコア数重視
- CPUのキャッシュの容量が大きめ
- メモリをたくさん搭載できる(最大1TB~4TB)
- ECCメモリが使える
- 常時稼働のための信頼性機能搭載
- その他、サーバ/ワークステーション向けの機能を搭載
- コア数は少なめ
- コア数よりもクロック数重視
- メモリはそこそこ搭載できる(最大128GB程度)
- ECCメモリは使えない
最近はパソコン向けのCoreプロセッサでもゲーミングPC向けなどにサーバ向けに近い性能の製品がリリースされています。しかし、テラバイト容量のメモリのサポートやECCメモリのサポートなどはサーバ向けのXeonに限定されているようです。
Xeonの種類
Xeonには2CPU以上の構成が可能で大容量メモリを搭載可能なハイエンドサーバ向けの高性能製品『Xeon Scalable Processor』と1CPU専用で性能がやや抑えめの普及価格帯の製品『Xeon-E プロセッサ』がラインナップされています。
Xeon Scalable Processor
- ハイエンド向けの高性能製品
- 2CPU以上の構成が可能(最大8CPU)
- コア数が多い(最大28コア56スレッド)。
- 大容量メモリを搭載可能(1TBから4TB)
データベースや仮想サーバ、HPC/数値計算などハイエンド用途向けのCPUです。2CPU/4CPU/8CPUといった複数CPU構成が可能で、1TBクラスの大容量メモリを搭載することが可能です。メニーコア構成でIntel製品中最大のコア数の製品がラインナップされています。
Xeon Scalable Processorの最新の製品は2019年から2020年にかけて発売を開始した第2世代 Xeon Scalable Processorです。開発コードネームではCascade-Lakeと呼ばれるものです。
このほど第3世代Xeon Scalable Processor(Cooper Lake)がリリースされましたが、第3世代では4CPU/8CPU専用の大規模サーバ向けの製品のみのラインナップで、2CPU以下のメインの用途では第2世代が最新のCPUとなっています。
Xeon Scalable Processor の変遷
Xeonのハイエンド向けの製品は古くは型番が5000/7000番台だったことからXeon 5(千)番台/7(千)番台とよばれていました。その後Xeon E5/Xeon E7というブランド名になり、現在はXeon Scalable Processor(Xeon スケーラブル プロセッサ/Xeon SP)というブランド名になっています。同じXeon Scalable Processorでの新旧の区別のために第n世代という呼称を付与しています。
製品名 | 発売開始時期 | 開発コードネーム | 製造プロセス |
---|---|---|---|
Xeon 56xx | 2011 | Nehalem | 45nm |
Xeon E5 v1 | 2012 | Sandy Bridge | 32nm |
Xeon E5 v2 | 2013-2014 | Ivy Bridge | 22nm |
Xeon E5 v3 | 2014-2015 | Haswell | 22nm |
Xeon E5 v4 | 2016 | Broadwell | 14nm |
1st Gen. Xeon SP | 2017 | Skylake | 14nm |
2nd Gen. Xeon SP | 2019-2020 | Cascade Lake | 14nm++ |
3rd Gen. Xeon SP | 2020 | Cooper Lake | 14nm++ |
Xeon-E プロセッサ
- 小/中規模サーバ向けの製品
- 1CPU専用
- コア数やキャッシュ容量はデスクトップ向け製品と同等
- ECCメモリはサポートしているが、最大メモリ容量はデスクトップ製品と同等
- 内蔵グラフィックを搭載した製品がある
小中規模サーバ向けの製品です。1CPU専用でコア数やメモリ搭載容量などはデスクトップ向けのCPUと同様になっています。ただし、メモリに関してはECCメモリをサポートしており、常時稼働のサーバ用としては問題のない機能を備えています。
最新のXeon-Eプロセッサは第9世代Xeon-E プロセッサ(Coffee Lake-R,Coffee Lake Refresh)と呼ばれるものです。型番ではXeon-Eに続く4桁製品番号の2番目数字が"2"になっているのがそれです(ex. Xeon-E 2236)
"第9世代"というのは現在に連なるアーキテクチャの初代から数えて9代目という意味です。第1世代は今から12年ほど前にリリースされたNehalemアーキテクチャがそれにあたります。
Xeon-E プロセッサの変遷
Xeonの1CPU専用の製品は古くは型番が3000番台だったことからXeon 3(千)番台とよばれていました。その後Xeon E3というブランド名になり、現在はXeon-Eプロセッサというブランド名になっています。
世代 | 製品名 | 発売開始時期 | 開発コードネーム | 製造プロセス |
---|---|---|---|---|
1 | Xeon 34xx | 2008-2009 | Nehalem | 45nm |
2 | Xeon E3 v1 | 2011 | Sandy Bridge | 32nm |
3 | Xeon E3 v2 | 2012 | Ivy Bridge | 22nm |
4 | Xeon E3 v3 | 2013-2014 | Haswell | 22nm |
5 | Xeon E3 v4 | 2015 | Broadwell | 14nm |
6 | Xeon E3 v5 | 2015-2016 | Skylake | 14nm |
7 | Xeon E3 v6 | 2017 | Kaby Lake | 14nm+ |
8 | Xeon-E 21xx | 2018 | Coffee Lake | 14nm++ |
9 | Xeon-E 22xx | 2019 | Coffee Lake Refresh | 14nm++ |
最新のCPUによるメリット
新しいCPUの方が当然性能は良くなります
- CPUのコア数が多くなる
- (最大)クロックが高くなる
- 高速なメモリが使えるようになる
- メモリの最大容量が増える
- IPC(クロックあたりの処理命令数)が多くなる
- 新しい命令セットが利用できる
- 消費電力が下がる
- サーバの向けの信頼性機能が利用できる
最近のCPUではクロック数、コア数の強化以外にも様々な最適化により性能がアップしています。
既存環境の処理性能の不足でCPUのスケープアップを検討する場合、古い世代のCPUでスケールアップするよりも新しいCPU環境へ移行したほうがより効果的です
最近のCPUでは処理性能の改善以外にも省電力機能やサーバ向けのサポート機能などの追加などもされています。現在、処理性能的には問題のない環境であっても新しいCPU環境に更新することにより消費電力の低減や信頼性の確保などのメリットを享受することが可能です。
まとめ
Intelのサーバ向けプロセッサであるXeonについて、Coreシリーズプロセッサとの機能の違いや、Xeonブランド内での各プロセッサの違いをまとめてみました。
最新のCPUでは処理性能の改善だけでなく消費電力の低減や、常時稼働環境における信頼性の確保などのメリットも享受することが可能です。ぜひ最新CPUによる新規サーバ導入だけではなく、既存サーバの最新CPU環境へのアップデートもご検討ください。
Intel、Intel Core、Xeonは、Intel Corporationまたはその子会社の商標または登録商標です。
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